シャーリー 森薫

出版社/著者からの内容紹介
「エマ」の著者、森薫氏が個人誌のみで発表された3作品が1冊となって登場。 「シャーリー・メディスン」「僕とネリーとある日の午後」「メアリ・バンクス」を収録。

初期の作品集。絵はエマの終盤と比べるとさすがに色々見劣りする点があるが、作者の「こういう絵が書きたいんじゃいー!」というスピリットは存分に伝わる。静と動のバランスがほどよいストーリーとコマ運びは安定感があるなあと思う。説明的なセリフをあまり使わなくてもちゃんと内容がわかるドラマっていうのは、書き手次第で十分成立するのだなあ。森作品は、何かが起こったときに、1コマか2コマ、表情をタメてから感情を表すシーンがしばしばあって、そういうのがうまいなあと思う。

一番気に入ったのは最後の短編の、悪戯好きの大旦那とそれに付き合う(付き合わされる)メイドのエピソード。老齢の大旦那から最後にされた悪戯が、クールかつポップだった。ベタといえばベタであるが、僕は相変わらず優れたベタなものやストレートなものを好んでいるので、とてもいいなと思った。また森さんにはこういうメイド関係の短編を描いてみて欲しいなあ。B