BANANA FISH 全11巻+番外編1巻 吉田秋生

Banana fish (1) (小学館文庫)
バナナフィッシュをはじめて全巻通して番外編も含めてちゃんと読んだ。吉田作品は他に「櫻の園」という名作があるが、これは昔読んだことがある。バナナフィッシュは完全にサスペンスものだったなあ。バナナフィッシュという名称の麻薬をめぐる陰謀、対立、策略、闘争。そこに同性愛、民族的対立などの要素も含んだ物凄いボリュームのある作品だった。「ストーリー構成・浦沢直樹」としても全く問題ないよって感じな気もするんだが、それは作者の力量、構成力が浦沢レベルなんだろう。そして浦沢レベルというのは、つまりは日本トップクラスということだ。淡白な絵柄でそれがメリットにもデメリットにもなっている作品だが、やっぱり面白い。

俺はアッシュがそんなに美しき青年に見えるかと言われればいやー別にあの絵ではそうは感じないなぁ、という感想なんだがまあ「美青年という記号」としてのアッシュなら理解できる。ラストはとてつもなく儚い。儚くて、美しい。悲しい話だが、しかしながら、あのラストしかなかったんだろうなあという物語だった。途中で登場したサブキャラがラストでポンと重要な役割を果たすというのは機動警察パトレイバーにおけるSSS機関のあのヒゲサングラスのキャラの構造と同じだ。

そして番外編。往々にして番外編というのはオマケ的要素が強いものだが、これはちゃんと番外編が本編を補完していた。アッシュの死から7年後が舞台の「光の庭」。本編知らないとあんまり価値の無い短編であるが、本編と連動させることによって、BANANA FISHという物語が時間軸的な意味でも完結するのだ。これは「番外編」の傑作だった。

おまけ
ゴルツィオーネ(タコ親父)のユエルンに対する言葉遣いってなんだかヘン。別にいいんだけどさ。「ユエルンどの、〜〜」とか。「どの」にあたる英語ってあるんかいな。てかどっちが目上の人間なんだよ、という感じが。このマンガ全体に渡るものなんだけど、セリフの言い回しの違和感が最後まで抜けきらなかったなあ。「ご助力」とかちょっとあんまり自分にその語彙になじみがないだけなんだろうかした。アメリカを舞台にして多民族登場させているので止むを得ないのかもしれないけど、うーん。まあ評価はそういうところでは下がる作品では決してないんだけどね。うん。A